あじさい寺明月院の春

北鎌倉のあじさい寺と言うと、明月院である。あじさいの季節には、大勢の観光客が押し寄せる。あじさいの季節には、本堂後庭園も公開されており、花菖蒲が美しい。

そんな明月院も、春はそれほど人が押し寄せるわけではなく、ひっそりとしている感じさえする。僕が2009年の春に訪れたのは、ソメイヨシノが終わった後の明月院だ。紫陽花の葉の緑や紅葉の緑がとても綺麗だった。

明月院 入口
明月院 入口

参道からしてあじさいの季節とは違っている。人通りが少ない。参道を入ってどん詰まりに明月院の入口がある。山門は小さく、拝観料を納めて入口を入り、ゆるやかな石段を上った先にある。

明月院の開山については、その前の歴史がある。北条時頼は、1256年(康元元年)に最明寺で仏門に入り、1263年(弘長3年)に亡くなり、最明寺は廃絶した。時頼の子北条時宗は蘭渓道隆を開山として、最明寺の跡に禅興寺を建立する。禅興寺は、関東十刹に数えられるほど規模が大きかったようだ。その禅興寺の塔頭として、室町時代に上杉憲方が、密室守厳を開山に建てたお寺が明月院だと言われている。

明月院 枝垂れ桜
明月院 枝垂れ桜

ソメイヨシノが散ってしまった後に咲いていたのは、この枝垂れ桜だった。あじさいほどではないけれど、境内には春の花も咲く。木蓮や海棠など、いろんな花が咲くから、人が少ない分春は穴場のお寺かも知れない。

明月院 方丈
明月院 方丈

明月院と言えばあじさい、そしてあの丸窓があるのは、この方丈だ。右手から方丈の中に上がれるようになっているし、方丈に向かって左手には、裏側の庭園に入る入口がある。

明月院 悟りの窓
明月院 悟りの窓

この丸い窓は、「悟りの窓」と言われている。この窓から見える庭園に入ることができるのは、花菖蒲が咲く頃と紅葉の頃だけである。

鎌倉のお寺は谷戸に背を向ける形になっている。この窓の向こうに広がる庭園のどん詰まりは谷戸の奥にあたる。これまで入ったことは、たった一度だけ。あじさいが咲き、花菖蒲が咲く頃のことだった。

明月院 庭園
明月院 庭園

方丈の向かい側には、禅の庭園もある。砂に足跡を付けているのは、1匹の猫。のんびりと昼寝をしていた。禅宗のお寺の庭は、掃除や手入れが行き届いていて、とても整った感じがする。禅宗では、掃除自体が修行なので、どのお寺も整っているのだろう。

明月院 宗猷堂
明月院 宗猷堂

方丈に向かって左へ歩いて行くと、開山堂(宗猷堂)がある。宗猷堂という名前は、禅興寺8世の玉隠英輿(ぎょくいんえいよ)が天皇から贈られた宗猷大光禅師(そうゆうたいこうぜんじ)という名からきている。向かって右脇には、鎌倉十井のひとつ「甁の井」(つるべのい)がある。

明月院 上杉憲方の墓
明月院 上杉憲方の墓

また向かって左の崖には、鎌倉最大と言われている大きなやぐらがある。やぐらとは、鎌倉時代中期から室町時代前半にかけて作られ、使用された横穴式の納骨窟または供養堂のことだ。鎌倉のあちこちにやぐらが見られる。ここのやぐらの中には、上杉憲方の墓と言われている大きなやぐらがある。やぐらの奥の壁には、釈迦如来と多宝如来とみられる像と十六羅漢像と思われる浮き彫りの像があるが、外からは暗くて良く分からない。

明月院 お地蔵さん
明月院 お地蔵さん

宗猷堂と向かい合う形で、一体のお地蔵さんがある。「花想い地蔵」と呼ばれている。四季折々の花を抱いているからだろう。新しいお地蔵さんのようで、とても綺麗だ。

明月院 八重桜
明月院 八重桜

ソメイヨシノの後に咲く八重桜が、とても綺麗に咲いていた。あじさいの季節でなくても、充分に楽しめ、そして癒やされるお寺だと思う。

明月院 北条時頼廟所
明月院 北条時頼廟所

入口に近い場所、茶室がある近くには、北条時頼の廟所がある。北条時頼は、最明寺入道時頼と呼ばれたそうだ。僧の姿で全国を行脚した伝説があり、上野の国で佐野源左衛門常世という貧しい武士の家に泊まる。その時薪が不足していたので、梅・桜・松の鉢の木を火にくべてもてなしたという有名な話がある。「いざ鎌倉」とか能の「鉢の木」の話である。

そのお寺の歴史を紐解き、そこにまつわる話を知ることで、より深く知ることができるという楽しみがあり、鎌倉散策は止められない。

福源山明月院(ふくげんさんめいげついん)
臨済宗建長寺派
9:00〜16:00(6月は8:00〜17:00)

2件のコメント

  1. しんさん、こんにちは。
    ブログ楽しく拝見させていただきました。
    関西に住んでいる鎌倉好きですが、なかなか鎌倉に行けないので
    とても楽しく読ませてもらいました。
    鎌倉独特の落ち着いた空気が懐かしく、今すぐにでも行きたい気持ちでいっぱいです。
    これからも「鎌倉」を発信し続けてほしいです(^^)

    1. Tさん、コメントをいただき、ありがとうございます。
      このブログ、コメントを沢山いただけるブログにしたいなと思っているのですが、さっそくコメントをいただいて、感激しております。

      大勢の人が押しかける場所も悪くはないのですが、僕の場合は静かな鎌倉を歩きたいと思っており、そういう場所を選んで歩いてきた気がします。

      今は数年前に撮った写真を振り返りつつ、お寺や神社の記事を書いていますが、近いうちに今の鎌倉も紹介させていただこうと思っています。

      これからも、ぜひこのブログを覗きに来ていただけると、嬉しいです。
      今後もよろしくお願いします。

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