朝の円覚寺

円覚寺山門
円覚寺 山門

空気に触れるだけで良いお寺

円覚寺を訪れるのは、朝が良い。

石段を上り、総門を入ると、空気が変わる。一言で表現するのは難しいが、凛とした空気が、境内に漂っているのを感じる。色んなものが混ざったような空気ではなく、とても純粋な空気だ。昼間より朝早い時間帯の方が、その空気を強く感じる。ぴりっとした空気と言うよりも、人の心を癒してくれるような、優しく包み込んでくれる空気だ。それでいて決して甘やかしてくれないような強さを感じる空気だ。

総門を入り、この空気に触れるだけで、その日の僕の目的は、8割くらいは満たされた気になる。写真の山門を見上げる時には、充分満たされた心境になっている。円覚寺は、僕にとっては、そんなお寺だ。境内が広く、見所も多いけれど、大好きな空気に触れるために訪れる。

早起きのご褒美

開門の8時と同時に、総門を入る。開門時にも大勢の人が訪れているが、時間が経てば経つほど人は多くなってくる。朝一番が、最も落ち着いて境内を歩き、写真をゆっくり撮ることができる。人が多くなってしまうと、遠慮しながら素早くカメラのシャッターを押す。この違いが、早起きのご褒美みたいなものだ。

鎌倉と言うと、首都圏から日帰り圏内なんだけど、さすがに朝8時に鎌倉に着こうとするなら、相当早く起きる必要がある。だから、出足が遅いのだろう。2時間も経った10時頃になると、静かだった円覚寺の境内も賑やかになってくる。桜や紫陽花、紅葉の季節だと、尚更だ。

円覚寺 妙香池のカワセミ
円覚寺 妙香池のカワセミ

もうひとつの、早起きのご褒美は、カワセミを見られるということ。本堂を過ぎ、居士林の前を通り、大方丈まで行くと、妙香池がある。妙香池にある虎頭岩(ことうがん)という虎の頭の形をした岩の辺りで、カワセミがいるのを良く見かける。

朝のうちが一番見つけやすい気がするから、早起きのご褒美のひとつだと思う。季節的には秋とか春先とか、気温の低い時の方が、見かけることが多かった気がする。渡り鳥ではないと思うので、夏場でも見かけることはあると思う。妙香池の前に人だかりができて、写真を撮っている人が多かったら、九分九厘はカワセミがいるのだと思う。

大好きなスポットを三つあげるとすると

円覚寺は、塔頭(たっちゅう)と言って、お寺の中の小さなお寺がいくつもある。最も繁栄していた時代には、40を越える塔頭があったようだが、現在残っているのは19らしい。その全てを思い出せるかと言うと、そうではなかったりするけれど、とにかく円覚寺と一言で言っても、見どころは沢山ある。塔頭の中には、非公開のものも多いので、全てを間近に見ることはできない。

円覚寺の中で好きな塔頭をあげるとすると、一つ目は、済蔭庵(さいいんあん)と言うより、居士林と言った方が分かり易い。在家の禅道場になっているところだ。二つ目は、黄梅院(おうばいいん)で、円覚寺境内の一番奥に当たる。三つ目が居士林脇の小路から高台へ上って行ったところにある龍隠庵(りゅういんあん)で、ここからの円覚寺境内の眺めが好きだ。

円覚寺 済蔭庵(居士林)
円覚寺 済蔭庵(居士林)

春に梅の花が咲く頃も良いし、秋の紅葉の時期には、居士林の前はカメラマンで混雑している。参禅する人以外は入れないようだけど、ここの前を通る人は必ずその門前で立ち止まって、門とその周囲にある木々を眺めてしまうだろう。とても美しい門だと思う。

円覚寺 黄梅院
円覚寺 黄梅院

黄梅院の門とその周辺も、とても美しい場所だと思う。門を入るとこぢんまりとした庭が広がっていて、四季折々の花を咲かせる。一番奥には聖観音堂がある。そこでお詣りをして、引き返す。混雑している時には、すれ違う人が多く、写真を撮りにくいから、やはり朝が一番だ。

円覚寺 龍隠庵からの眺め
円覚寺 龍隠庵からの眺め

一番好きな場所は、もしかしたらここかも知れない。ちょっとした高台にあり、円覚寺の広い境内が見渡せる場所だ。入口が目立たないせいか、ここにやって来る人は少ない。石段を上るけれど、息を切らすほどの長い石段でもない。綺麗な風景が眺められるのは、春か秋だろう。やはり、秋が一番良いかも知れない。境内とその周辺の紅葉が、一望できるからだ。春は龍隠庵境内の花が可憐だ。もちろん、円覚寺のところどころに咲く春の花も、眺めることができる。

円覚寺は見どころも多く、四季折々に見せる顔も違っているから、ここだけで語り尽くすことはできない。いくつかに分けて、紹介することにしたい。

瑞鹿山円覚寺(ずいろくざんえんがくじ)
臨済宗円覚寺派
1282年(弘安5)開山:無学祖元 開基:北条時宗
8:00〜17:00 (11月〜3月8:00〜16:00)

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA